公益財団法人 京都体育協会

第5回スポーツ写真コンクール結果

京都市体育協会では、今年もスポーツに関連する写真を広く市民から公募することにより、身近なスポーツへの関心を高めるとともに、「みるスポーツ」としての楽しさを伝え、スポーツの普及・振興に寄与することを目的として、「京都スポーツ写真コンクール」を開催いたしました。 ご応募いただいた作品をもとに、去る10月8日(水)に選考委員会を開催し、下記のとおり入選作品及び受賞者を決定いたしました。
なお、入選作品については、京都市市民スポーツ会館及びゼスト御池で展示を行います。皆様のお越しをお待ちしております。

 

募集期間 平成26年6月12日(木)~9月30日(火)
応募作品総数 317枚
表彰式 平成26年11月8日(土)
西京極総合運動公園(第11回みんなのスポーツフェスタ内)
展示期間・場所 京都市市民スポーツ会館:平成26年11月8日(土)~平成26年11月28日(金)
ゼスト御池<寺町広場> :平成26年12月1日(月)~平成26年12月11日(木)
受賞者一覧 こちらからご覧ください。

 

講評
選考委員長 神崎順一

スポーツ写真コンクールもおかげさまで、今回5回目となりました。
全国各地から、いろいろな種目の、そして幅広い年齢層の方々から多数の応募をいただきこのコンクールが5年の歴史を経て、広く認知されてきたことと関係者一同大変嬉しく、感謝の気持ちで一杯です。
公的機関が公募しているスポーツ写真コンクールは全国でも珍しく、背景には京都市がスポーツを大切な文化として健康都市を標榜していることに他ならないと思います。
このコンクール、回を追うごとに写真としての表現力が増していますが、今回は特に優れた作品が多く応募作品を前に審査員一同、緊張感を持ち、活発な討論を交え、長時間にわたり慎重に審査を進めました。
写真は一瞬を切り取るところに魅力がありますがスポーツは正にその特徴を100%活かすことの出来る被写体です。受賞作品の多くはその瞬間を感動的にとらえ、また、画面構成や空間処理に無駄が無く大変力強い印象を受けました。
いずれの応募作品もスポーツの持つよさを表現し撮影者の個性があふれていましたが、いま少しアップであれば、横より縦位置であればといった僅差が結果となりました。
今後とも楽しみながら写真を撮り続けられ、多くの方々が次回のコンテストにもステキな作品を応募していただくよう願っています。

 

入賞作品

 

京都市長賞

「青春の一刻」 三浦 征志浪

ゲームセット。試合が終わった瞬間にはいろんな表情がある。勝者に焦点を合わせたもの、敗者の悔しさを表現したものそれぞれがドラマチックだ。
この作者は難しい二つのシーンをたくみに1枚の中に纏め上げ明暗を語った。
アングルが絶妙だ。緊張が解放された一瞬を冷静に見つめ、捕手にピントを合わせ背景の喜ぶ群像を程よくぼかすことが出来る手腕は技と共によほど野球を熟知しているに違いない。最高殊勲選手と評したい。

 

京都市体育協会会長賞

「泥しぶきの攻防」 田中 秀具

ラクロスの攻防を狙った一コマだが、先ず眼を引くのが泥だらけの水しぶきだ。
これがこの激戦の様子を大変効果的に盛り上げている。
球技は攻守のバランス、動感、ボール位置など難しい要素が多くありバランスのとれたチャンスはごくわずかしかない、複数選手がからんだ一瞬を逃さずとらえた作者の豊かな力量を評価したい。

 

京都市体育振興会連合会会長賞

「3人なら勝てるかも」 佐野 芳尚

おそらく初めて「する」スポーツであろう”相撲”。
スポーツの原点とも言える「する」楽しさが伝わってくる作品である。

 

京都市教育委員会教育長賞

「ウォーターボーイ」 小澤 由利子

熱演するボーイズ。ミッドサマー。日差しがまぶしく、プールのブルーが眼にしみる。
映画の影響か本人たちは大真面目なのだがなぜかユーモラスだ。
シャッターチャンスのよさとともに、まずこのポジションの選択が良かった。
中央のボーイが決まっている。シンメトリーな画面構成が基調になっているものの入り口の位置等、うまくバランスを崩しながら生き生きとした画面を作り出している。多くの演技者、背景の観客、このような煩雑になりやすい要素をシンプルにうまくまとめている。

 

京都サンガF.C.賞

「ちびっこイレブン」 寸田 弘樹

チームプレイのスポーツの良さが出た1ショットだと思います。
試合後に仲間と肩を組んで少しうつむき加減にしている様に感じます。勝ち負けはともか く仲間と全力でプレーする、仲間と助け合うというスポーツでしか得られないものが表現出来ていると感じました。

 

京都ハンナリーズ賞

「GAME TIME」 塩見 勝己

試合前であろう、真剣そのものの選手の表情には、祈りに近い感情がこの写真から見てとれる。静かだが高揚している情景が暗闇とスポットライトによって更に写真として奥行を与えられていることがとても印象的で素晴らしいと思いました。

 

フローラ賞

「上手く避けたよ」 中川 武彦

バッターとキャッチャーの躍動感あふれる一枚。女子高校生が本気で野球に向き合ってい ることも伝わる瞬間です。
この一枚をきっかけに、女子野球にひたむきに取り組む女の子が増えればと思います。

 

ミズノ賞

「滝修行」 城田 祥男

激しく落下する大滝の下、修行に励む姿はまるでドラマの一シーンを見るようで迫力満点。 突き出す腕が、そして半身が、滝に見え隠れするこの瞬間は修行の激しさを物語っている。
滝と人物、岩肌とのバランスが優れている。それにも増して滝の動感表現がステキだ。これはひとえにシャッタースピード選択の的確さだろう。人物の動き、滝の動感これを描き出すには速くてもいけない、遅くてもいけない、作者の選択したシャッタースピードがとても良かった。

 

京都新聞賞

「屋根より高く」 上坂 泰之

神宮道でのチアガールの若さはじける演技。まるで青空に飛び出たかのように画面いっぱい表現している。
アングルがいい。伸びやかな肢体、活発で明るい表情は見るものに元気を与えてくれるすがすがしい写真だ。
背景の平安神宮、支えるチームメイト、それぞれが主役をうまく引き立てている。縦位置という選択も成功した。

 

KBS京都賞

「人馬一体」 松島 克彦

障害物を乗り越える人馬の姿をややシルエット気味の画面でとらえたことが力図良い画面を生み出した。
バーに掛かる太陽も効果的でだれも見たことの無いようなローアングルはとても個性的だ。
跳躍の一瞬を逃さ無い判断、魚眼レンズの使用など多くの経験と周到な準備・知識なしには出来なかった作品だと思う。作者の努力に脱帽する。

 

朝日新聞社賞

「3m80cm」 渡邉 亜紀

体の線が実に美しい。顔はむろん、指、手、足の表情をシャープにしかも細やかに表現している。無駄が無い。又、中央を二分するバーは画面を引き締め緊張感を生む。
瞬間をとらえる写真の特性を遺憾なく発揮した棒高跳びの秀作と言える。

 

エフエム京都賞

「ゴールめがけて一人で練習」 万木 武

大きく伸びたゴールのアームが画面を引き締めその背景には練習する子供たちをコンパクトにまとめ体育館の情景を語ってくれる。
その中を突き破るようなひたむきな眼が飛び込んでくる。
この空間に、この瞬間に、この動感を美しくとらえたのは一体だれだ。
クラブの練習だろうか、派手さは無い。しかしこのような日常の一コマを品格ある作品に仕上げたのはだれだ、思わず尋ねたくなるような印象に残る作品でした。

 

京都市体育協会特別賞

「水に挑む」 能任 勝

急流でのカヌー競技。判断を誤れば転倒、一瞬のパドル捌きが明暗を分ける。
ぎりぎりまで切り詰めた画面には激しくうねる急流と選手の真剣な眼差しだけだ。
この思い切りが強い表現となった。

 

京都市体育協会特別賞

「デッドヒート」 長谷川 悟

京都マラソンでの車いす競技のゴールシーン。
ゴールシーンは撮る者にとっても緊張の一瞬だが、このポジションからこの瞬間を切り取った作者の冷静な目を賞賛したい。
勝者の最後の一こぎ、僅差の表情、テープの効果、明るい沿道の遠近感。
この一枚が車いす競技の良さを多く語っている。

 

京都市体育協会特別賞

「目指せ No.1」 大川畑 宗寛

ヘルメットにプロテクター。ゼッケンをつけた派手なウエアーは大人顔負けの立派なライダーだがやはり子供らしさがかわいい。勝負にかける真剣な瞳が印象的だ。
コーナーを回る一瞬をシャープなピントでとらえ背景をうまく取り入れ会場の雰囲気も程よく表現している。

 

京都市体育協会特別賞

「80歳のプライド」 酒本 光雄

三十三間堂で開かれる恒例の通し矢の一コマ。
新春のこの行事では晴れ姿の女性の写真が多く見られるが、この作品は技を極めた年配の方々の姿に眼を向けた珍しいシーンである。
堂々たる姿は少し緩んでいる世相に一矢を浴びせるような凜とした風格が漂っている。

 

京都市体育協会特別賞

「秋を背にして」 王鞍 謙一

澄みわたった秋空の嵯峨野。近隣の学生であろうか二人でラグビーのパス練習をしている。
のどかな景色の中二人の姿を見ているとスポーツを通じゆったりとした友情が育まれていくようで、何かほっとする空気感が漂っている。

 

京都市体育協会特別賞

「未来のサムライブルー」 奥本 英樹

代表のユニフォームをまとい、カメラに向かい、ひたむきにドリブルする彼の眼は真剣だ。
トップライトのまぶしい日差しは明るい未来を予感させる。
Jリーグ誕生から20年余りすっかり根付いたサッカー文化、次は君の出番だ、を思わせるストレートで好感の持てる作品に仕上がった。

 

京都市体育協会特別賞

「Let’s dance」 小村 春菜

ピント伸びた背中、美しく伸びた腕。社交ダンスは紳士淑女のスポーツだ。
年齢を忘れさせるような若々しいスマイルが見るものに幸せの種をまいてくれる。
少し傾いた画面からは動きを感じ、背景のカップルが奥行きのある会場の雰囲気をうまく説明している。

 

京都市体育協会特別賞

「跳ぶ」 神内 宏輝

西京極陸上競技場での棒高跳びの競技シーン。
このような競技の場合高さを表現に苦労するものだが、間延びしやすい空間を背景の客席、大きな電光掲示板、見上げる係員の視線を絡めることでうまく処理した。
しなる棒の先にはこの後クリアを予感させる選手の美しい伸びやかな姿があり思わず息を止め見いってしまいそうな作品となった。

 

京都市体育協会特別賞

「ゴールめざして」 稲木 茂忠

間違いなく明るく楽しい作品。お母さんの笑顔が実にいい。共に走る子供の顔が本当に楽しそうだ。運動会の一コマだがこのような表情、撮れそうでなかなかうまく行かない。
シャッターチャンス、アングルやレンズの選択等が実に的確で作者の高い技量が推測できると共に作者の視線の暖かさも伝わってくる。
この写真はファミリーにとってきっと大切な宝物になるに違いない。

 

京都市体育協会特別賞

「ハプニング」 深井 賢二

サーファーが大波にはじかれた瞬間だが、人物を点景にしたことで海の広さ波の勢いを強く印象づけた。このフレーミングのよさを先ず評価したい。
写真表現の上で人物はいかに小さくてもその力は強と言われているが、この作者が捉えたのは白いボードが高く飛び、サーファーが投げ出された印象強いより強いドラマチックな瞬間だった。

 

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