【ストリンガー】テニスプロショップ 京都スポーツクラフト(株)代表取締役 尾中 弘明さん|縁の下の力持ちをたずねて

ことわざに「弘法は筆を選ばず」と言うが、道具を使うスポーツは、それで片付けてしまうわけにはいかない。テニスのラケットにストリング(ガット)を張り、選手の力を100%発揮させるのが「ストリンガー」の職人技だ。

尾中弘明さんは、テニスプロショップを父親から継いだ二代目のストリンガー。自身も大学などでプレーヤー経験があり、現在は京都府テニス協会強化本部長も務めている。ラケットにストリングを張るときの一番大事なことを聞いてみた。「プレーしている間に絶対緩んでこないことでしょう」と尾中さん。ラケットのフレームにストリングをキチっと結びつける“コツ”が、選手との“信頼”をほどけなくする。

その上、選手の体力、プレースタイル、加えて“好み”などに合わせる苦労も。尾中さんは「ボールを打つときに、ボールとストリングが接している時間は1000分の4秒といわれています。指パッチンが1000分の7秒らしいので、ストリンガーの張り具合は、本当に微妙なんです」と、30年を超える経験を積み重ねてきた。

一方で辛い場面も。超一流選手であっても、自身の不調や、思い通りにならないゲーム展開をラケットにしかぶつけられない場面がある。ストリンガーは耐えるしか…?。最上のラケットに仕上げ、好成績につながったときこそ、ストリンガー冥利というものだ。一般のテニス愛好者の方も「できれば、3カ月に1回ぐらいはストリングを張り替えるといいでしょうね」。尾中さんのアドバイスだ。

京都スポーツクラフト(株) 河原町店
  • 〒602-0855 京都市上京区河原町通荒神口下ル東側
  • TEL : 075-231-3638
  • 営業時間 : 11:00~18:00(水曜定休日)

井上 年央(いのうえ としお)
スポーツライター
元京都新聞社運動部長

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!