「関西」23年ぶり制覇!!目指すは全国の頂点|京都産業大学ラグビー部

京都産業大学ラグビー部

大学ラグビーの2021-22年シーズン。京都産業大学は、関西大学Aリーグで、実に23年ぶり5回目の優勝を全勝で飾った。続く全国大学選手権では、初の決勝進出こそ逃したが、準決勝で“王者”帝京大学を追い詰めた。まさに、カ強い「復活のトライ」を感じさせ、新シーズンへの期待が高まる。

2021年春、OBで元日本代表の名キッカー、廣瀬佳司さんが監督に就任した。強豪・トヨタ自動車でプレーし、監督も経験。「選手たちには、京都産業大学が大切にしている『ひたむき』な姿勢がありました。自分たち“らしさ”を出せば戦える」と感じた。低く激しいタックル、豊富な運動量、そして闘争心。一見、華やかさはないが、玄人受けするようなプレースタイルを崩さず、磨いた。

シーズンの前哨戦になる関西大学春季トーナメント準決勝(6月20日)で、同志社大学に20-21で敗れた。廣瀬監督は「点数以上に内容に差があった」と振り返るが、2週間後の3位決定戦では、関西学院大学に90-5。チームの進歩が見え始めた。

関西大学Aリーグは8チーム。10月9日の初戦、立命館大学に41-20で勝利すると、近畿大学、摂南大学、関西大学相手に4連勝。廣瀬監督は「一戦ごとに選手が成長している」と手応えをつかんだ。11月6日、同志社大学戦。「耐える試合でしたが、逆転できた」(廣瀬監督)と、22-19で勝利。第6戦は、前年の全国大学チャンピオンで関西大学リーグ6連覇を狙う天理大学。戦う“勢い”を本物にしていた京都産業大学は19-10で難敵を破った。最終戦の関西学院大学戦も星を取りこぼさず33-5。実に、23年ぶりのリーグ優勝だったが、「この間も(関西2位、3位で)全国大学選手権には出場していたので、リーグ優勝がそんなに久しぶりだったとは……」と廣瀬監督。

第58回全国大学選手権(15チーム)は、関西1位のシード権を得て準々決勝からの出場。日本大学に27-26で勝った。京都産業大学の得点パターンの一つは、FW(フォワード)が反則を誘い、FB(フルバック)竹下拓己がPG(ペナルティ・ゴール)を狙う。この日本大学戦でもPG5本をすべて決めた。準決勝は帝京大学。互いに、低く強いスクラムで正面勝負を仕掛ける。京都産業大学は前半、2トライ(ゴール)と3PGで23-10とリード。後半は逆に、帝京に反則を誘われ、ノーサイド直前に後半3つ目のトライを奪われて30-37で終わった。

廣田瞬選手(左)と福西隼杜選手(右)

シーズンを終えて、共同主将3名の一人、廣田瞬選手(卒業後、大阪府警入り)は「4年間、悔いはありません。自分たちの意見を廣瀬監督が取り上げてくれました」。新シーズンに4年生としてFW陣を引っ張る福西隼杜選手は「(試合の)場数を踏んで、得点の嗅覚を磨けたと思います。ディフェンスを固め、アタックを強くして関東勢に勝ちたい」。

1973年からチームを率いた大西健監督が、2019-20シーズンを最後に勇退したが「ひたむきにプレー、目指すは大学日本一」のチームの思いは不変だ。新チームは、約半数が関西大学リーグ優勝経験者になり、心強い部分もある。「スクラムは低く志は高く」。挑戦が続く。

井上 年央(いのうえ としお)
スポーツライター
元京都新聞社運動部長

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