2022年全国インターハイ初優勝|京都精華学園高校バスケットボール部

長引く“コロナ禍”に、 スポーツ界もさまざまな影響を受けているなか、京都のジュニアアスリートたちは決して挑戦を諦めず、絶え間なく努力し、自分達の力を信じている。その活躍ぶりを紹介しよう。

“宿敵”桜花学園に勝利し、ついに頂点へ

高校女子バスケットボールで全国優勝70回を数え、“女王”の名をほしいままにしてきた桜花学園高校(愛知県)を、京都精華学園高校が倒す日がついにやってきた。2022年インターハイ3回戦。宿敵に65-63で競り勝つと、準々決勝、準決勝、決勝戦を大差で勝利し、初優勝を決めたのだ。イゾジェ・ウチェ主将は「チームメイトとしっかりコミュニケーションがとれていた」と、会心の笑顔を見せた。

桜花学園を追い続けた山本綱義監督は「15年ほど前になるでしょうか。桜花学園といい試合ができたことがありました」。それが、いつかは・・・と思った瞬間だった。2020年12月のウインターカップ全国高校選手権の準々決勝では、55-97で敗れた。しかし、翌年のウインターカップ決勝で57-61と接戦に。同年、インターハイ準決勝では63-66の惜敗。

そして、今夏のインターハイ3回戦。京都精華学園は前半8点リード。ハーフタイムで冷静さを取り戻した桜花学園に逆転を許すが、残り10分、ともにU17日本代表の柴田柑菜選手、八木悠香選手らの奮起で、勝利をもぎ取った。この、劇的な勝利に浮かれることなく、「(我々が)優勝しないと、桜花学園に失礼になる」(山本監督)と、栄冠まで突っ走った。京都の女子チームが、インターハイで優勝するのは、史上初めてだった。

京都精華学園は、バスケットボールの強豪チームに共通するように、ディフェンスの基本を徹底的に大切にする。その上で、一つの強みを磨いてきた。長身の留学生選手、ウチェ主将やディマロ・ジェシカ選手と一緒にプレーすることで、“高さ”に対する気おくれ、恐れのような感覚を削り取ってきた。「将来、(日本人)選手が、国際舞台でプレーする場合でも、その感覚が役に立つ」と、山本監督は見る。

クラブ指導が48年目の山本監督は、京都精華学園に事務職員で就職し、働きながら教員となり、現在は校長を務める。インターハイで全国の頂点に立った後、8月下旬から始まった新設大会「U18日清食品トップリーグ2022」に参戦。全国の強豪8高校が出場しているが、トーナメント大会と違い、「リーグ戦では、複数の強いチームと試合ができることで、どんなチームにも対応できる能力を磨くことができる」と1試合1試合を大切にする。

日本一を達成した京都精華学園の選手たちは、大好きなバスケットボールができる環境への感謝を胸に、新たな目標に向けてチームを再スタートさせた。

井上 年央(いのうえ としお)
スポーツライター
元京都新聞社運動部長

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