長引く“コロナ禍”に、 スポーツ界もさまざまな影響を受けているなか、京都のジュニアアスリートたちは決して挑戦を諦めず、絶え間なく努力し、自分達の力を信じている。その活躍ぶりを紹介しよう。
苦戦乗り越え、 決勝で 『チーム』 になれた
春先からの“苦戦続き”を跳ね返すように、2022年全国インターハイの男子バレーボールで、東山高校は躍動した。予選グループ戦、決勝トーナメントの計6試合をすべてストレートで勝利し、初の栄冠を手にした。
池田幸紀主将は「インターハイ直前の近畿大会決勝で負けて、足りないものが分かった。インターハイで徐々に調子を上げ、決勝で『チーム』になれた」と喜びをかみしめる。
振り返ると、この3年間は“辛抱”続きのクラブ活動だった。2020年は、北関東インターハイ、鹿児島国体ともに新型コロナウイルス感染拡大で中止。2021年1月の全日本高校選手権大会(春高バレー)は出場したが、2回戦勝利の後、チームに発熱者(後にコロナ感染判明)が出て3回戦棄権。この年の北信越インターハイは京都予選で敗れて洛南高校が出場し、続く三重国体は中止。今年1月の春高バレーは、3年連続出場だったが、1回戦で習志野高校(千葉県)に逆転負けした。
今春、指導陣に変化があった。豊田充浩監督が総監督になり、チームマネージメント全体を強化。監督には、OBで2019年からコーチを務めていた松永理生さんが就任した。「日本一を狙うには、(ゲーム展開の中で)最後の決定打を確実に決めないと。勝ちたい思いをもっと強く」と内心、選手を“同士”と呼んで指導した。
迎えた丸亀市でのインターハイ。決勝の相手は、昨年1月の「春高バレー」覇者の東福岡高校。立ち上がり、8点をリードされた。松永監督は「1セット目は相手チームの情報収集、惑わされることはないと考えていました。そんな練習もしてきたので、選手に『練習試合のつもりでやったらいい』と伝えました」。結果は25-23、25-19、25-18のストレート勝ちだった。

東山高校は2019年の茨城国体で、ほぼ単独チームで優勝し、2020年の「春高バレー」では髙橋藍選手(後に日本代表)を主力に優勝。そして、今年のインターハイ初制覇で、全国にしっかりと足場を築いた格好だ。
その東山バレーの“看板”は、レフト、ライト、センター、バックの攻撃を同時に仕掛けて相手守備を破る『高速立体コンビバレー』。さらに磨きをかける松永監督は、中央大学でユニバーシアード準優勝、パナソニック、豊田合成でプレーし、中央大学監督としてインカレ3連覇も達成した。多彩な経験を基に、高校生選手に最も大切な要素として、「(将来を考えて)パスの基本をしっかり身に着け、フィジカルを高めて」と、じっくり先を見据えている。
井上 年央(いのうえ としお)
スポーツライター
元京都新聞社運動部長